先行きにちょっと不安を覚えたりしながらも、あたしたちはさらに世界を巡る。
 今の世界、人の手が入ってる場所がほとんどになってて、あたしのいた時代からの人間の進化っぷりには驚かされるばかりだけど、でもさすがに大きな砂漠はどうにもならない面が大きいっぽい。
 あたしのいた時代にはこんな大きな砂漠はなかった気がするって場所を抜けてくと、ある程度残された自然とか色んな種類の動物の姿が見られる様になってく。
「わぁ、すごい、間近で自然な動物たちが見られるなんて、ちょっと感動しちゃいました」
 あたしは動物は見慣れてたんだけど、むしろ閃那さんのほうがそんなこと言ったりしてて。
「ティナさん、このあたりのお店に寄っていきませんか? お菓子がものすごくおいしいらしいんですけど」
「寄らないわよ、今回は見てくだけなんだから」
「えぇー、せっかく世界一周してるのに、残念です」
 北へ戻って比較的歴史があるって国々を回るとあんなこと言ってきたりと、案外閃那さんのほうがあたしより楽しんでるかもしれない。
 まぁ、つまらなさそうにされたりするよりはそのほうがいいし…
「もしも、また別の機会があったら…そのときは、あんたに付き合ってあげてもいいわ」
 あたし自身、この子と一緒にいるのが楽しいって感じたりしてて、そんな声かけたりしちゃう。
「わぁ…はいっ、そのときにはぜひっ」
 彼女はといえばやっぱり本当に嬉しそうな反応見せてくるし…もうっ。

 数日かけて世界を巡って。
 その間ずっと閃那さんと一緒にいたってこともあって、彼女との距離が随分縮まったって感じる。
 彼女のことを「あんた」なんてちょっと口の悪い、エリスさんみたいな呼びかたする様になっちゃったけど、文句とか言われてないし別にいいわよね。
 そんなあたしたちの旅も、南アメリカ大陸の南端まできて、その南の南極大陸には行く気ないから、もうじきおしまい。
「この海を越えたら、もうすぐ戻っちゃいますね…残念です」
 その日は海を越えずに休んだんだけど、閃那さんがそんなこと言ってきたりして、あたしもさみしさは感じてた。
 だけど、それ以上に緊張もしてて…だって、その先にある、いや、あるはずなのは…。


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