それから毎日、雨の日以外は夕食前に毎日三十分くらいの練習を続けてる。
「いち、に、いち、に…今度転んだら私が支えてあげますから、いつでも転んで大丈夫ですよ」
「わざわざ転んだりしないからそんな心配しなくってもいいわよ。それにそういうときはあたしが受け止めるから」
「ありがとうございます…えへへっ」
 毎日の練習の成果か、そんなことを言い合うほどに転んだりすることはなくなって、順調に走れる様になってきてた。
 あたしのほうが歩幅が大きいからそれに気をつければ、あとはあんまり速く走りすぎても例によって悪目立ちしちゃうかもしれないからほどほどでいいでしょ。
「にしても、閃那から言い出したこととはいえ、ちゃんと毎日練習続けられてるのはちょっと意外かもしれないわね」
「ぶぅ、ティナさんって私のこと面倒くさがりな怠け者みたいに見てるんですね…それはそれで、里緒菜さんみたいでありですけど」
 ちょっと失礼なこと言っちゃったかもだけど、あたしは普段から剣の練習とか授業外の勉強とかやってるのに対して、閃那自身にも自覚あるみたいにこういうこと面倒くさがる傾向あるのよね。
「とはいっても、ティナさんの言う通りこういう練習とかはいつもでしたらやっぱりしてないって思います。今回ここまでしっかりやり続けたのは…やっぱり、ティナがいるからですっ」
「ちょっ、閃那ってば…!」
 腰に回されてる彼女の手がさらにぎゅってなったものだから慌てて足を止める。
「こうやってティナさんと密着しながら一緒に何かするなんて、それだけでとっても幸せですから頑張ってこられたんですよ」
「そ、そっか」
 そんなところだろうとは思ってたけど、悪い気はしないか。
「やっぱり、好きな人とこうやって寄り添い合って何か一緒にするって幸せなことですよねぇ」
 ちょっとうっとりされたりして、恥ずかしくなってきちゃう。
「まぁ、もっと甘えたい、ぎゅってしていちゃいちゃしたい衝動を抑えるのは大変ですけど、そこを我慢する修行を含めての練習って考えてます!」
 お、大げさね、全く…まぁ、あたしもちょっと抑えきれなくなりそうなときあるし、解らないことはないけども。
「と、とにかく、この調子なら体育祭も心配なさそうね?」
「はいっ、一緒に頑張りましょうねっ」
 そうして微笑む彼女はやっぱりとってもかわいくって、抱きしめたい衝動に駆られそうになるけど…だから我慢だってば。


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