で、迎えた翌日。
 朝ごはんを食べた後、閃那がその「お楽しみ」をしたいっていうから二人で学校にある学生寮、その自室へ向かった。
 夏休みの学校、運動部な生徒が出てきてることがあるっていうけど、今日もよく晴れて暑いってこともあって人の姿はほとんど見ない。
 それは学生寮も同じで、長いお休みだからほとんどの生徒はあたしたちみたいに実家へ帰ったりしててやっぱり人の姿はなくってとっても静か。
 まぁ、あたしたちは実家から近いってこともあってこうして気軽に戻ってきたりしてるけど、同じ家で暮らしてて姉ってことにもなってる叡那さんやねころ姉さんが実家から通ってるのにどうしてあたしたちは学生寮なのか、って気にされたこともあったっけ。
 それはお互い二人で暮らしたいから、なんて解釈されちゃってるみたいなんだけど、とにかくあたしと閃那がルームメイトとして一緒に生活してる部屋へ戻ってきた。
「やっぱり閉め切ってると暑いですね…エアコンエアコンっと」
 部屋へ入るなりあの子はそう言いながらエアコンのスイッチを入れてカーテンを開ける。
 旅行から帰ってきた日にもきたから二日ぶりってなる部屋だけど、改めて見てみてもずいぶんものが多いって感じる。
 しかもあたしの私物はないに等しくって、ほぼ全て彼女のもの…旅行でそれがさらに増えたんだっけ。
「で、今日はここで何しようっていうの? 先日買ってきた本でも読むの?」
 先日の旅行の目的は彼女が大きなイベントへ行くってもので、あたしは一言で言えば荷物持ち。
 そのとき買った同人誌っていう薄い本が結構な数あったりするものね。
「ん〜、それをじっくり読むのも確かに楽しみですけど、それは一人で楽しみます。ティナさんに見せるにはまだはやいものも多いですし」
「何よ、そのはやいって」
「それは、そのぅ…ま、まぁ、色々濃いものも多いですし」
 あからさまに目を逸らしたりして、明らかに何かあるわね。
 そういえば、そのイベントのあった会場で閃那のそういう趣味の仲間だって人に会って、そしてその人が描いたって本のこと…思い出しちゃった。
「閃那、あんた…もしかして、その、過激なの買ったりしてるんじゃ、ないでしょうね?」
「…ぎくっ。あ、あはは、そんなことないですよー?」
 ものすごくうろたえられちゃって…もう、そういうことなの?
 あたしが並ばされた列のものにはそういうのなかった気もしたんだけど、彼女が自分で並んだとこにあったのかしらね。
「全く…あ、ああいうのちょっとどうかと思うし、第一年齢制限があるっていうでしょ? 控えときなさいよね」
「ま、まぁまぁ、そんなかたいこと言わないで…。それに、その…私とティナさんだって、毎日同じ様なこと、してるじゃないですか」
「同じ様なことって何よ?」
「それはもちろん、年齢制限ある同人誌に描かれてるみたいな…」
「…んなっ」
「まさかティナさんみたいな素敵な人と恋人になれて、あんなことやこんなことできちゃうなんて…もう、幸せ過ぎます」
 言葉を失うあたしに対しあっちはうっとりした様子になって…いや、その、確かにあたしたちはほぼ毎日っていいくらい、その、愛し合ってるけど、口にして言われるとものすごく恥ずかしい。
「う、うっさいっ。よ、よくそんなこと、恥ずかしげもなく…!」
「だってだって、本当のことですもん。ティナは…幸せじゃ、ないんですか?」
「そ、それは…そ、そんなわけ、ないでしょっ?」
 じっと見つめられて、恥ずかしくって目を逸らしちゃいながらもそう返す。
「わぁ…ティナ、大好きですっ」
「んなっ、ちょっ…!」
 そんなあたしに彼女は思いっきり抱きついてきちゃって…ま、まぁ、あたしも、嫌じゃないけど…!


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