それからあたしたちは閃那の手引きで色んな屋台を回ってみた。
「ティナさんなら射的得意そうですよね、あのぬいぐるみ当ててみてください」
 そんなこと言われておもちゃの銃でほしいものを狙い当てる遊びをやってみたり。
 あたしの魔法は光の剣のして使うと同時に矢の様に放つこともできるからああ思われたんだろうけど、まぁ実際それほど難しいものじゃないから狙いのものを当てることはできた。
「えへへっ、ティナさんが当てたぬいぐるみ、大切にしますねっ」
「お、大げさなんだから、全く…」
 当てたぬいぐるみをぎゅっとする彼女がかわいくてこっちがどきどきしちゃう。  そんなこともあったんだけど、屋台っていうのはほとんどが食べ物を売っていて、方々からおいしそうなにおいが漂ってきてる。
「はぅ、これは我慢できません…片っ端から食べましょう」
「そ、そうね…じゃなくって! 食べられる量にしときなさいよねっ」
 あたしはちょっと前までかなり貧しい、というより自分で何とかしなきゃ何も食べられない食生活送ったりしてたから、こういうのはそりゃ我慢できなくなりそうにもなるけど、お金のこともあるしそうはいかない。
「むぅ〜、そうですね…あっ、それじゃ、お互いに半分こしあいましょう! そうすればそれだけ色々なものが食べられますし、それにティナさんといちゃいちゃできて一石二鳥ですっ」
「い、いちゃいちゃって…」
 恥ずかしさに否定の言葉が出ちゃいそうになるけど、提案自体はそんな悪いものじゃないはずだから何とか我慢。

「えへへっ、おいしいですね、ティナさんっ」
「そ、そうね…」
 ということで、色んな食べ物を買って、ところどころに用意された座れるスペースの一つに座ったあたしたち、それを食べてく。
「じゃあ、これはティナに…あ〜ん?」
「しょ、しょうがないわね…あ〜ん」
 別に自分で食べようと思ったら食べられるんだけど、そんなことしてくる閃那もかわいいって思っちゃうので差し出されたものを食べてあげたりして。
 まわりに相変わらず人がいるのでやっぱ恥ずかしいものは恥ずかしいんだけど、何とか気にしないでおかないと。
「ティナとお祭りにこれて、とっても幸せです。夏休みはまだまだありますし、それにその先も…一緒に色んなことしましょうねっ」
「…ええ、閃那」
 まばゆいばかりの笑顔であんなこと言われたらこっちも笑顔でうなずくしかない。
「はぅっ、ティナ…何とか帰るまでは我慢しますから、帰ったらあんなことやこんなことしましょうねっ?」
 …って、閃那の息が荒くなってる気がするけど、大丈夫かしらね。


    -fin-

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