ま、趣味については急いで探したり作ったりするものじゃないし、おいおい見つけられればいいかな、ってとこ。
 でも、こうなると気になってくること、あるわよね。
「で、あたしの趣味はいいとして、閃那の趣味って何よ?」
 カラオケを終えてお社へ歩いてく帰り道、そうたずねてみた。
「…えっ、わ、私ですかっ? どうしてそんなこと聞くんです?」
 あたしとしては普通にたずねたつもりだったんだけど、何故だか妙に驚かれた。
「いや、あたしの趣味について話しが出たんだから、普通に気になると思うんだけど」
「そ、そうかもしれませんね…あはは」
「…何よ、言いづらい様な趣味なの?」
「えっと、その、言いづらいというか…あの〜」
 あたしに言えないことだとか、怪しい変な趣味だったりするのかしらね、とか思っちゃうんだけど…ん?
「…あ、そういえばさ、あたしたちが出会ってすぐの頃、閃那が何か、お勧めだっていう趣味聞かせてくれなかったっけ?」
「…えっ? そんなこと…ありましたっけ?」
「あったわよ、そのときもあたしが剣の練習を趣味だって言って、それに対して閃那が他に趣味を見つけてみてはって言ってお勧めを教えてくれたんじゃない」
「あ〜…そんなこともあった気がします、はい」
 あの反応、今の今まで忘れてたって様子だけどしょうがないか、あたしもそうだったうえ…。
「えーと、ごめん、あのとき閃那が教えてくれたの、何にも覚えてなくって。何しろよく解んないものだったし、あれから特に話題にも上がらなかったから…あれがもし閃那の趣味なんだったら言えないってことはないでしょ、よければ教えてよね」
「あぁ、そんな、謝ることなんてないです、ティナさんの言う通り、忘れてもしょうがないですし。でも、う〜ん…」
 それでもなお彼女は迷った様子を見せる。
「…いいわ、言いたくないならしょうがないし、無理に言わなくっても。誰にでも言いたくないことはあるでしょうしね」
 あたしは数年間密度の薄い人生を送ってきたってこともあって閃那に言えないことは特に思い浮かばないけど、普通はそんなことないでしょうしね。
「わっ、ティナさん、そんなこと…!」
「いいのいいの、閃那が言いたくないらなそれで」
「はぅっ、そんなぁ、怒らないでくださいよ、ティナさぁん」
「別に誰も怒ったりしてないってば。ただちょっとさみしいかも、とか…いや、な、何でも…」
「もう、ティナさん、そんなかわいいこと言われたら話すしかないじゃないですか」
「…は?」
 何でいきなりそうなるのよ、それいうならさっきのあんたの反応のほうがずっとかわいかったでしょうが。
「まぁ、これからもずっと一緒に暮らしていくうえで隠しておくのは不便すぎますしね…帰って、夕ごはんの後に教えてあげますけど、引いたりしないでくださいね」
「そ、そう、閃那がそう言うならいいんだけど」
 でも、引いたりする様な変な趣味だったりするのかしらね…少し不安になるけど、あの子なんだし大丈夫でしょ、多分。


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