序章

 ―未来がどうなるかなんて解らない。
 いい未来が待ってるのか、それとも悪い…そもそも生きてるのか。
 こういう未来が待ってそう、って考えたことはあったけど…現実に待ってたのは、あたしが想像もできなかったことばっかり。

「たとえ何かあっても、貴女のことはあたしが守ってみせるから」
 ―幼き日、お城でお花畑を見ながら隣にいる親友へそう言った。
「ありがとうございます、ティナ。このお花みたいに、わたくしたちも一緒にいられたら幸せです」
 寄り添い合うみたいに咲く二輪の花を見ながら微笑みあうあたしたち二人。
 このときは、このまま先も二人で一緒にいられるって、信じて疑わなかった。

 ―でも、そうはならなくって。
「…あたし、これからどうすればいいのかしらね」
 誰もいない荒野で一人たたずみながら、そんなことをつぶやいた。
 色々あって親友のそば、それどころか国にすらいられなくなり、一人外の世界を放浪することになった。
 このときは、未来どころか生きてる意味すら解らなくって…でも、もしものことがあったときのために、日々の鍛錬だけは欠かさなかったっけ。

 ―そして、もしものことが実際に起きてしまった。
「貴女のこと、たとえ何かあっても守る、って約束したでしょ…だからっ!」
 あたしは生きてきたただ一つの意味、つまり親友を生命を捨ててでも守ろうとした。
 本当、このときはあたしはどうなったっていい、そう思ってたのに…
「せめて貴女だけはお守りします、から」
 生命を懸けてあたしを守ってくれたのはその親友で…あたしは一人、見知らぬ場所へ飛ばされた。

 ―今、あたしがいるのは、あたしが生まれた時代から数万年先の未来。
 そんなとこで生きてくことになるなんて、もちろん想像もしてなかった。
 そして、それと同じくらい思ってもみなかったことがあった。
「…消すしかないのかも」
「あ…貴女、あたしのこと、消すって、いうの…?」
 出会いは、むしろ最悪って言っていいくらいのものだった。
 でも、その…こっちへきてからはじめに出会った少女、彼女はいつしか…。


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