「里緒菜ちゃん、あのことなんだけど場所とか決まったよ」
 麻美ちゃんにお礼言ってお別れして、いつも通りアルバイト…昨日は会えなかった里緒菜ちゃんがきてくれたからさっそく報告。
「…あのこと? あのことって何ですか?」
「もうっ、あの約束…私たちの結婚式のことだよっ」
「そうでしたか…ふふっ、ありがとうございます」
 あの子は悪戯っぽく微笑んだりして、これってはじめから何のことか解っててとぼけてたよね…ぶぅ。
「え…あ、あのっ、結婚式って何です?」「私たちの、って聞こえましたけど、まさか…」
 と、私たちの会話が聞こえたみたいで、お店にきてたあの子と同じ学校の子たちが声をかけてきた。
「うふふっ、すみれちゃんと里緒菜ちゃんはここで結婚式を挙げることになったの。みんなもきてあげてね」
 さらに美亜さんからみんなにそう伝えられて歓声が沸き起こっちゃう。
「…つまり、ここでさせてもらうことにしたんですか?」
 まわりが盛り上がっちゃってる中、立ち上がったあの子は私にしか聞こえないくらいの声でそうたずねてきたの。
「うん、ドレスも美亜さんが用意してくれる、っていうんだけど…よかったかな」
「はい、ここでしたら皆さんも気兼ねなくこれるでしょうし、いいと思います…ありがとうございます」
「ん、よかった…でも、お礼を言うなら美亜さんに、かな」
「そうかもしれませんね…ふふっ、当日が楽しみです。すみれのチョコレートも、期待してますよ?」
「うっ…が、頑張るよ」
 もう、里緒菜ちゃんに微笑まれながらあんなこと言われたら、やっぱり頑張るしかないよね。


    -fin-

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