起きてからもしばらく、里緒菜ちゃんとぎゅって寄り添いあってのんびりした時間を過ごしちゃった。
結局ベッドから出たのはお昼前で、朝からこんなにのんびりしたのってはじめてかも、ってくらいだったけど、あの子と一緒にいられてとっても幸せだったし、たまにはいいよね。
「ん〜、やっぱり里緒菜ちゃんの作るお料理はとってもおいしいっ」
「手短に簡単なもの作っただけなのに、大げさですね…しかもそれを、そんな幸せそうにして」
「だって、実際に幸せなんだもんっ」
時間がもうお昼だったから、あの子が朝ごはんを兼ねたお昼ごはんを作ってくれて、それを一緒に食べる。
あの子はやっぱりああ言って謙遜するけど、でもお弁当や昨日の夕ごはんなど、お料理上手なのは間違いないよ。
「それにしても…こうしてると、まるであれみたいだね」
「…あれ? 何のことです?」
二人きりの部屋でテーブル越しに向かい合って、手料理を食べる…っていったら、まるであのシチュエーション。
「うん、まるで新婚さんとか、そんな感じだよねっ」
「わ…まさかセンパイがそういうこと言うとは思ってませんでした」
むぅ〜、まだ昨日のイメージが残っちゃってるのかな?
「里緒菜ちゃんはそう感じたりしない?」
「えっと、い、いえ、私もそんな気分で…とっても嬉しいです」
うんうん、やっぱりそうだよね…お互いに微笑みあっちゃう。
「…こんな風にしていられるなんて、本当に夢みたいですし」
と、里緒菜ちゃん、ふと遠い目をしちゃう?
「うん、私もちょっと夢みたいに感じられるけど、でも夢じゃないんだよ」
「…でも、センパイが私とこういう風になりたい、って思ったの…昨日なんですよね?」
「わわっ、そ、それは、え〜と…里緒菜ちゃんと一緒にいたいな、とはもっと前から感じてたよ?」
「…それでも、その気持ちが恋だって気づいたのは、昨日ですよね?」
「あぅ、そ、それは…う、うん」
じぃ〜っと見つめられて、大人しくうなずくしかなかった。
「私は、それよりずっと前から、これが恋だって自覚して、センパイのこと好きだったんですよ? それでずっと、こういう日がくることを夢見てて…」
つまり、それだけ私よりも長く、そして強く焦がれてた、ってことになって…私のことを想ってくれてたってことに嬉しくなると同時に申し訳なくもなる。
「あぅ、ごめんね、里緒菜ちゃん。私が鈍いばっかりに…」
「本当にです、全く…」
う〜ん、私って自分の想いにも、そして彼女が私のことをこんなに想ってくれてたことにも気づけなくって、それだけ長い間彼女に苦しい思いをさせちゃってた、ってことになるわけで…情けなくってしゅんってなっちゃう。
「…なんて、冗談です」
と、そんな私の様子を見てかどうか、あの子はそう言って笑ってくる?
「私はセンパイと違って自分自身の、それにセンパイが私のこと想ってくれてることも気づいてて、それでもあえて何も言わなかったんですから。もし耐えられなくなったら、自分から告白してましたよ」
あっ、そうだった、彼女は私から告白されるまであえて待つことにした、んだったっけ…何でも私がデレるのを待つことにしたとか…。
「う〜ん、里緒菜ちゃんはすごいね。私なんて、昨日想いを自覚したら我慢できずにすぐ告白しちゃったのに、そんな気長でいられたなんて」
「それは性格の違いじゃないでしょうか。センパイは思ったらすぐ行動するタイプだと思いますし」
「う〜ん、そっかな?」
「それに、告白して恋人になったりしなくっても、センパイと一緒にいる時間は、その…楽しかったですから。だから今はこういう関係もいいかな、なんて考えたりして…」
私も出会った頃から彼女と過ごす時間は楽しかったけど、あの子もそう感じて過ごしてくれてたなんて嬉しいな。
「…あっ、でももちろん今は恋人って関係から戻るなんて考えられませんけどね?」
少し顔を赤くしてわざわざそんなこと言う彼女…う〜ん、やっぱりかわいすぎる。
「うんうん、私もだよっ」
そんな彼女を見てたら、告白してよかったって改めて感じちゃう。
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