あの後も副ヘッドさんのプレゼントについての悩みを一緒に考えてましたけど、やっぱりかたちに残るものがいいんじゃないか、という結論になりました。
それからはラジオな集会を開いて、私の持ってた不安のひとつについても話したりしました。
つまり、このラジオの元になってる番組のヘッドさんで、私にとって憧れであって目標でもあるかたがあるテレビ番組に出るんですけど、おかしな扱いにならないか不安…ってことです。
副ヘッドさんもやっぱり心配だったみたいですけど、最近のよく解らない歌なんかよりあのかたの歌唱力のほうがずっと上ですし、大丈夫だって信じることにして、そのかたがその番組で歌うことになってるCDを聴いて、その日を終えたのでした。
あれから数日が過ぎた日の夜、私は学生寮内のとあるお部屋の扉前にきてました。
いつもでしたら周りの目とかもあって、一人ではあんまりここには訪れなくって別の場所で会うことにしてるんですけど…今日は特別な日ですから。
大きく深呼吸をして、高鳴る気持ちを少しでも落ち着けてから、その扉を軽くノックしてみます。
それからの待ってる数秒はとっても長く感じられちゃって、色々よくないことが思い浮かんじゃったりもします。
…はぅ、もしいらっしゃらなかったら、それにもし他の子がいたりしたら、どうしよう…。
危うくもうちょっとで泣きそうになったところで、その扉が開いてくれました。
「…あら、いちごちゃん。うふふっ、ごきげんよう」
「は、はいっ、ご、ごきげんよう、お姉さま…!」
扉の向こうに現れた人…私の大切な人、真意流々お姉さまのお姿を見ただけで、私の胸はものすごく高鳴ってきちゃいました。
「あら、どうしたの、そんなに赤くなって…かわいいわ。ほらほら、外は寒いでしょう…中にお入りなさい?」
「は、はぅ、失礼します…!」
促されるままに入ったのはもちろんお姉さまのお部屋…いつきてもどきどきしちゃいますけど、今日はいつにも増してです。
どきどきしながらもちょっとお部屋を見渡しちゃいますけど、もちろん他に人の姿はありませんでした。
「あら、どうしたのかしら? ここには私といちごちゃんの二人きりよ?」
「は、はぅっ」
そ、そんなことわざわざ言われると、さらにどきどきしてきちゃいます…けど、しっかりしなきゃですぅ。
「お、お姉さま、約束の時間よりちょっと遅くなっちゃいましたけど、ケーキも作ってきましたから、クリスマスパーティをしましょう」
そう、今日は十二月二十四日です…ちなみに、九条先輩のお誕生日は翌日の二十五日らしいです。
「あら、いちごちゃんの手作りなのね」
はぅ、そんなふうに微笑まれちゃうと…で、でも、本番はこれからですから…!
「は、はい、それで、プレゼントも用意したんですけど、受け取ってもらえますか…?」
「うふふっ、もちろん…何かしら?」
じっと見つめられちゃう中、私は手にしてたケーキの入った箱を床に置かせてもらって…ちょっと手が震えちゃいながらも、その場で服を脱いじゃうんです。
「わっ、私を、お姉さまにプレゼントします…!」
は、はぅ、言っちゃいました…しかも、こんな格好で…!
厚手のコートを脱いだ今の私の格好は、とっても大胆なデザインのドレス姿なんです。
普段でしたら絶対に着る機会とかなんてない服で、とっても恥ずかしいんですけど…。
「あら、それは…よかった、ちゃんと着てくれたのね」
そう、この服は昨日、スタジオに行ったときに私宛に置かれてたもの…もちろん、お姉さまのお名前でです。
そこに「クリスマスの夜には、これを着ていらっしゃい」と書かれていたんですから、これはもう…着てくるしか、ないですよね?
「あら…うふふっ、それじゃ、遠慮なくいただいちゃいましょう」
ものすごく恥ずかしい中、お姉さまにしばらくじっと見つめられちゃってから、そう言われて…。
-fin-
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