「うぅ、夏梛ちゃん、今日はごめんね…?」
 結局、あれから夏梛ちゃんは私のためにおかゆを作って食べさせてくれたりもして…とっても嬉しいんですけど、同時に申し訳なくもなっちゃうんです。
「本当なら、毎日お仕事が大変な夏梛ちゃんがゆっくりお休みしなきゃいけないのに…」
「もうもう、またおかしなことを気にして…そ、その、その、だ、大好きな人の看病をするのは当たり前のことなんですから、全然全然気にすることはないんですっ」
「わ…か、夏梛ちゃん、ありがと」
 あんなことまで言ってもらえるなんて、私ってとっても幸せ者です。
「わ、解ったんでしたら、ゆっくりゆっくりお休みしてくださいっ」
「…うん、夏梛ちゃん、おやすみ…」
 とってもあたたかな想いに包まれて、恥ずかしげな彼女に見守られながらゆっくりと目を閉じました。
 この幸せな気持ち、夏梛ちゃんにも返してあげなきゃ…それにはまず、元気になることですよね。
 ですから、しっかりお休みして…。
「麻美…はやくはやく、元気になってください…」
 と、薄れていく意識の中、そんな声が届いて…そして、唇に何かやわらかくてあたたかいものが触れた気がしました。

「夏梛ちゃん、おはよ」
「ん…おはようございます、麻美。その様子だと、元気元気になったみたいですね」
 翌日、普段どおりあの子の寝顔を堪能してから起こしてあげる私の体調はもうすっかり元通り。
「うん、昨日夏梛ちゃんが看病してくれたおかげかな」
「そ、そんなそんなこと…げ、元気になったのでしたら何よりです」
「うん…もし夏梛ちゃんが風邪をひいたりしちゃったら、そのときは私が看病してあげるね」
「そ、そうならない様に気をつけますけれど…も、もしものときは、お願いします」
 あれっ、顔が少し赤い…昨日のこと、思い出しちゃったのかな。
「うん…私の口づけで、夏梛ちゃんが元気になってくれたら嬉しいな」
「はわはわっ…ま、まさかまさか、起きてたんです…!?」
 あっ、一気に真っ赤になっちゃいました。
「うふふっ、もう、夏梛ちゃんはかわいいんだから…大好きっ」
 想いがあふれて、思わずそのままぎゅっと抱きしめちゃいました。


    -fin-

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