〜Happy birthday(その2?)〜
―年末も近づいてきたけど、その前にあの子…あたし、雪乃ティナにとって一番大切な人の誕生日がある。
しかも彼女の誕生日は十二月二十五日…大切な人と過ごす、ってのが慣例になってる日でもあるみたいだから、なおさら何かプレゼント用意しないと。
そういうことで、今日はプレゼントになりそうなものを探しにお店…彼女、アニメとかゲームとか好きだから、そういうの売ってるとこへきてみたの。
「う〜ん、どうしようかしらね…」
でも、いざきてみると…やっぱり悩んじゃう。
「彼女、大抵のものは持ってそうだし…でもやっぱり喜んでもらいたいし、難しいわね」
DVDとか並んでる棚を見てそうつぶやいちゃう。
そう、あの子って結構色々買ってるのよね…カフェテリアでのアルバイトもそのためにしてそうだし。
「こういうの、よく解んないし…ん?」
そんな中、見覚えのある人たちがジャケットに載ってるDVDが目に留まった。
「これ、確かあの子が好きな人たちじゃなかったっけ…」
そのDVDはゴスいおよーふく着た女の子とほんわかした女の子の二人組なユニットのものだったんだけど…。
「そうね、間違いないわ」
実は私も実際に会ったことあったりするし、やっぱりそうみたい…確かあの子はかなさまとアサミーナさん、って呼んでたけど、とにかく声優の人たちね。
「ずいぶんファンみたいだし、それにこれ、数日前に出たばっかりみたいだからあの子もまた持ってないでしょうし、これにしとこっと」
ということで、あたしはそのDVDを手に取ったの。
プレゼントも用意した。
で、前日となる今日、二十四日には頑張ってお料理も作ってみて…さすがにねころ姉さんほどには上手じゃないって思うけど、でもケーキなんかも作ってみた。
これで準備は完璧…なんだけど。
「…閃那って、いつ帰ってくるのかしらね」
日もすっかり落ちた頃、ふとそんなことつぶやいちゃう。
そう、今あの子はここにはいない…彼女のもといた世界へ、二学期末の試験を受けに行ってるの。
いつ帰ってくるのか、ってことは聞きそびれちゃったけど、さすがに今日には帰ってくるわよね?
今日帰ってこなくっても、まぁ明日には、ね…料理はあたため直せばいけるし、大丈夫。
「…べ、別にさみしくなんかないわよっ?」
なんて、誰もいないのにそんなこと言っちゃった…はぁ。
でも…さみしいってわけじゃないんだけど、こうして一人でいると色々不安になる、ってのはある。
あの子は向こうでちゃんとしてるのかしら、とか風邪とか引いてないかしら、とか…。
あと、用意したプレゼンとか、喜んでもらえるかしら…。
「あたしって、ああいうの本当解らないものね…う〜ん」
今回DVDを買った声優なお二人は、実際に会ったことあったってこともあって解ったんだけど、ね…。
そうね…あの子が帰ってくるまで、何かしら触れておこうかしら。
やっぱり、好きな人が好きなもの、っていうのはなるべく知っておきたい、それにできれば自分も好きになっておきたいもの、ね。
「う〜ん、それじゃ何をしようかしらね?」
この部屋、学生寮の私の部屋なんだけど、閃那の私物も結構ある…っていうか、そっちのほうが多い。
だからここにあるあの子の持ってる何かを借りてみようって思ったわけだけど…どれがどういうのかなんてもちろん解らないから選びようがない。
「さて、困ったわね…」
と、そんなとき、あの子が出発する直前のことが記憶に浮かんだ。
そういえば彼女、何だかとっても楽しみにしてたっていうCDを聴いて、それで満足してからあっち行ったんだっけ。
あの子はヘッドフォンつけてたから内容は解らなかったけど、あの様子からして本当に大好きそうな感じだったし、それにその後すぐ出てったからCDはそのまま残ってるはずよね。
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