〜アサミーナとかなさまと山城センパイの秘密?〜
―今日は私、石川麻美も私の大好きな夏梛ちゃんもお休みだから、一緒に練習…まずはジョギング。
ジャージ姿になって、そして髪を上げている彼女もやっぱりとってもかわいい。
私も彼女と一緒のジャージを用意して、そして一緒に走ってる…んだけど。
「はぁ、ふぅ…夏梛ちゃん、待って…!」
しばらく走っていると息が上がっちゃって、公園で思わずそう声をかけちゃう。
「ふぅ…麻美? 大丈夫大丈夫ですか?」
少し前を走っていた彼女、ゆっくり足を止めてこちらを振り向いてくれる。
「う、うん、大丈夫…。でも、えっと…少し、休も…?」
「そうですね…休憩休憩しましょう」
「うん、ありがと、夏梛ちゃん」
微笑みかける私にあの子は近くのベンチへ腰かけるから、私も隣へ座らせてもらう。
「やっぱり、夏梛ちゃんはいつも元気よくダンスとかしてるし、体力十分だね」
「そんなそんなことはないです。私なんてまだまだですし…それにそれに、麻美もだいぶ慣れて慣れてきたんじゃないでしょうか」
「う〜ん、そんなことないって思うけど…やっぱり、夏梛ちゃんは色々すごいよ。私も、ダンスは少しはよくなってきたかもしれないけど、体力はまだまだだし…あ」
ダンスといえば…ふととあることが頭に浮かんだの。
「え…麻美? どうかどうかしたんです?」
「うん、えっとね、昨日は夏梛ちゃん、お仕事でいなかったよね。だから私もいつもみたいにお社の裏で練習しようかな、って思ったんだけど…そこに山城センパイがいたの」
「センパイが? 何か何かあったんですか?」
そこで山城センパイを見たこと自体がはじめてだったんだけど…それだけじゃなかったんだよね。
「うん、山城センパイがお一人で練習してたんだけど…なぜかダンスの練習してたみたいなの」
「ダンス…って、ひょっとしてひょっとして、誰かとユニットでも組むんですかね?」
首を傾げるあの子だけど、山城センパイっていったら声優さんのお仕事だけ、しかもイメージがつくといけないからって人前に出ないかただから、不思議に思うのも当然です。
「あっ、えっとね、『里緒菜ちゃんとこんなことできたらなぁ…』なんてことを呟いてたかも。何だか声をかけづらくって引き返しちゃったんだけど…」
うん、完全にお一人の世界に入っちゃってたし、お邪魔はできませんでした。
「きゃーきゃー、センパイ、かわいすぎじゃないですか! これは…告白告白も時間の問題かもしれません」
ううん、かわいいのはそんな声上げる夏梛ちゃんだと思うけど…えっ?
「わっ、夏梛ちゃん、それって…やっぱり、山城センパイも里緒菜さんのこと、好きなんだね。里緒菜さんは山城センパイのことが好きだっていってましたし、やっぱり両想いだよね…」
「ですです、両想いなのは間違いないです!」
お二人を見てても、それはすぐに解っちゃうことなんだけど…。
「うん、でも山城センパイって自分の気持ちにも気づいてない雰囲気なんだけど、告白とか…するのかな?」
この間里緒菜さんと話したとき、彼女は山城センパイからしてくれるのを気長に待つ、みたいなことを言ってたけど…。
「この間、お会いしたときには大好きと明言明言されてましたけども」
と、夏梛ちゃん、意味深な笑顔でそんなこと言ってくる…?
「…えっ、そ、そうなのっ? そ、そうなんだ…それなら、そのうちにもしかするのかも、だね」
私が里緒菜さんと話してたみたいに、夏梛ちゃんも山城センパイと話してたんだ…。
「まあまあ、あれはほとんど誘導尋問でしたけど…ごにょ」
「えっ、夏梛ちゃん、どうしたのかな?」
ちょっとよく聞き取れなくって訊ね返しちゃう。
「こほん…とにかくとにかく、これからが楽しみ楽しみです」
何だか誤魔化されちゃった様な…でも、いいかな。
「う〜ん、あんな練習をしてたってことは、やっぱり里緒菜さんとユニット活動したいのかな…?」
したいから、あんなことしてたんだって思います…けど。
「でも、里緒菜さんは…どう、なのかな?」
彼女もあまり顔出しとかしたくなさそうですし、それに面倒になることは嫌いそうなイメージがあります。
「里緒菜ちゃんは…多分多分乗り気ではないでしょうけれど、そこhじゃ愛の力でしょうかね」
うん、お二人ならそれで何とかなりそうかも。
「そうなると…私たちも負けていられないね? ユニットの活動も…それに、愛の力もっ」
その気持ちを表すためにあの子のことをぎゅってしちゃう。
「はぅはぅ!? あ、麻美、こんなこんな場所で…?」
「夏梛ちゃん、大好きっ」
慌てちゃう夏梛ちゃんに、私はさらにぎゅってしちゃいます。
お二人には幸せになってもらいたいですけど、私たちもそれに負けないくらい幸せになろうね、夏梛ちゃん。
-fin-
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