〜アサミーナとかなさまののんびりした時間〜
―今日は、お仕事でちょっと遠くに行ってた大好きな夏梛ちゃんが帰ってきた。
駅まで私、石川麻美が出迎えてあげて、そのままお家に帰ろうって思ったんだけど、夏梛ちゃんは私の母校である私立天姫学園のスタジオに寄ってきたいって言ってきたの。
私はもっといっぱい練習しなきゃいけないし、それに断る理由もなかったから学園へ行って、誰もいないことを確認してスタジオに入ったんだけど…。
「…くてーん」
夏梛ちゃん、スタジオにつくなりかわいらしい声あげて机に突っ伏してぐったりしちゃった。
「わっ、か、夏梛ちゃん、大丈夫?」
「…大丈夫大丈夫です。ただただ…すごく眠たいだけですから」
「うん、夏梛ちゃん、ずっとお仕事で大変だったものね…お疲れさま」
そんな彼女の隣へゆっくり腰掛ける。
「でも、それならお家でのんびりすればよかったのに…」
「別に別に…今日はそんな気分だったんです」
やさしくなでなでしてあげる私に、彼女は少し気持ちよさそうにしながらそう言ってくる。
「もう、私の練習に付き合ったりしなくっても、夏梛ちゃんはゆっくりしてくれてても大丈夫なんだから、ね? でも、私も少しでも夏梛ちゃんと一緒にいたいから、嬉しいけど」
「はぅ…別に別に、麻美のためじゃないですし…」
あ、ちょっと赤くなっちゃった。
「うふふっ、夏梛ちゃんは自分のために、私と一緒にいたいって思っててくれるのかな」
「にゃ…にゃんのことか解らないにゃ…」
さらにぷいってしちゃったりして…照れちゃったみたい。
「うふふっ、そうなんだ…解らないんじゃ、しょうがないかな」
そんな彼女がかわいくって、さらになでなでしちゃう。
「でも…やっぱり、私も自分のために、夏梛ちゃんともっと一緒にいたいな」
「うぅ…麻美はどうしてそんな恥ずかしい台詞をさらっと…」
わっ、夏梛ちゃん、真っ赤になっちゃった。
「もう、恥ずかしくなんてないよ? だって、昨日まで夏梛ちゃんは一人でお仕事で、離れ離れになってて…気持ちは繋がってるって解ってるけど、でもやっぱりさみしかったんだから…」
うん、だからやっぱり、こうして夏梛ちゃんと一緒にいられるのはとっても幸せ、って改めて実感できる。
「あ、麻美がそう言うなら…えっとえっと、あ、ありがとう?」
夏梛ちゃん、何だか戸惑って…ううん、混乱してるみたい?
「もう、それって何のお礼かな…じゃあ私からも、ありがと」
一緒にいられることに対して、笑顔でお礼を言う。
「あぅ…麻美は元気元気ですね」
「だって、夏梛ちゃんと一緒なんだもん、元気になるに決まってるよ…ぎゅっ」
愛しさがこみ上げてきて、思わず抱きしめちゃった。
「はぅはぅ…! 麻美ったら、こんなとこで…もうもうっ!」
「うふふっ、だって、我慢できなかったんだもん。夏梛ちゃんがかわいすぎるのがいけないんだから」
あたふたしちゃう彼女をさらにぎゅってしちゃう。
「は、はぅ、私はかわいくかわいくなんて…ないのに…」
もう、夏梛ちゃんがかわいくないなら、この世にかわいいと呼べる人なんて誰もいなくなっちゃいます。
でも、そんなこと言う彼女…涙目でじぃ〜っとこちらを見つめてきてる…!
「はぅっ、か、夏梛ちゃん…! も、もう、そんな目で見つめられちゃったら、完全に想いが抑えられなくなっちゃうよ…」
そのあまりのかわいらしさにとってもどきどきしちゃう…と。
「そ、それは、私…私の台詞です!」
夏梛ちゃん、急に私を押し倒してきちゃう…!
「きゃっ、か、夏梛ちゃんっ?」
突然のこと、しかも疲れてるって言っていたはずの彼女の行動にびっくりしちゃった…けど、私も想いは抑えられないし、そのまま全てを委ねることにしたの。
-fin-
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