―こうして、私は憧れの地で理想の大和撫子と結ばれた。
「わぁ…幸菜ちゃん、かわいい、かわいすぎるっ」
休日の朝、待ち合わせ場所…といっても学園の中心にある講堂の前なのだけれど、とにかくそこに現れたあの子がかわいすぎて思わず抱きしめちゃった。
「はぷっ、ゆ、雪野先輩、落ち着いてください…!」
「これが落ち着いていられるわけないじゃない…もうとっても感激っ。その着物、着てくれてありがとっ」
そう、今日の彼女、私が贈った着物を着てくれてて…うんうん、やっぱりとっても似合ってるし、思ったとおり理想の大和撫子ね。
「そ、それはいいですから…あぅ、他にも人いるのに…」
確かに休日とはいえ、あたりを歩く子の姿もちらほら…でも、そんなこと気にしてもしょうがないじゃない。
「今日は私たちの初デートね…楽しみましょ」
しばらくぎゅっとして堪能した後、ゆっくり身体を離して手を差し出す。
「は、はい、よろしくお願いします…!」
顔を赤くして、ちょっと緊張した様子でその手を繋いでくれる彼女。
今日はこのまま学園の敷地外へ出ての初デート…うふふっ、楽しみ。
「あ、先輩、明日も部活にきてくださいますか?」
並木道を手を繋いで歩きながら、そうたずねられた。
「ええ、それはもちろんだけど、何かあった?」
「はい…あの子を目覚めさせようかな、って思って」
「えっ、あの子っていうと…あの子のことよね? あれからまだほとんどたっていないけれど、いいの?」
「はい、先輩とこうして一緒になれて、心のもやもやとかなくなりましたから。今なら、迷いなくあの子を迎えてあげられそうなんです」
そう口にするあの子はとってもいい笑顔。
「ええ、解ったわ。じゃあ、私も一緒に…」
「はい、もちろんです」
あの子が作った、私そっくりのアンドロイド…ふふっ、どんな子なのかしら」
「それもとっても楽しみだけれど、今日はデートを目いっぱい楽しみましょっ」
「はわわっ、お、お手柔らかにお願いします…!」
とってもかわいくって素敵な、大好きな子と一緒に過ごせる…うんうん、こんな夢みたいな日を迎えられるなんて、日本へきて本当によかった。
これからも、一緒に…よろしくね、幸菜ちゃん。
-fin-
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