頑張っているあの子を見てるととっても感心しちゃうとともに、それに対するご褒美を先輩である私からあげたらどうかしら、って思ったの。
 そうでなくっても、好きな子への贈り物というのはよいものよね。
 だから私も、部活後に自室へ戻ったときや休日などにその作業をして…あの子の作業が終わる前に完成させたくって、そして何とか間に合ったみたい。
「えと、雪野先輩、一応完成したりして……見てもらって、いいですか?」
 ちょっと緊張した様子で幸菜ちゃんがそう声をかけてきたのは十月のある日の放課後…私の準備が終わった二日後のことだったの。
「ええ、もちろん…というより、こちらからお願いしたいくらい」
「は、はい、では…こちらへどうぞ」
 あの子に促され、今まで近づけなかった、あの子が今まで作業してた場所へ近づくと…そこには横になった人の姿があって。
「…これは、私よね、どう見ても」
 そう、その姿は私そっくり…というより、私そのものっていっていいくらい。
 目を閉じ、眠っている様に見えるその人…っていっていいのかしら、とにかくきちんと制服も着てるし、違うところっていったら髪の色が緑がかってるってことぐらいじゃないかしら。
「…ど、どうでしょう? 先輩をモデルにしたんですけど、まさかここまでそっくりにできあがるとは思わなくって…」
「そうね、確かにそっくり…よくできているわ」
 あの子にとっても予想以上の出来、みたいね。
「それで、ここからも何かするの? もしかして動く、とか?」
「は、はい、そのつもりで、本当でしたら部の活動として来週の学園祭で展示しようと考えていたんですけど…」
 あら、あの子の表情がなぜか曇っちゃった?
「…どうしたの?」
「いえ、ここまで先輩に似ちゃうと、動かすのが怖いというか…それ以前に他の人に見せたくない、って思っちゃって…」
 そうね…私も、自分そっくりな姿のアンドロイドが動くとなると、色々思っちゃうところはあるかも。
「このまま起動させないで、個人的に飾っておこうかな、なんて考えちゃったりもしますし…」
「あら、私そっくりの人形を飾ってくれるなんて、それはそれで嬉しいわね。そもそも、ここまでしっかり私の姿を模したものを作ってくれた、そのこと自体嬉しいけれど」
「そ、そうですか? 喜んでもらえたなら、よかったです」
 ちょっとほっとした表情をした彼女だけれど、本当に嬉しい。
「ええ…だって、それだけ私のことを強く想ってくれている、ということよね?」
「え、えっと…はい」
 微笑む私の言葉に、彼女は真っ赤になってうつむきながらもそう答えてくれた…?
 珍しく素直なお返事なうえ、今のって…。
「幸菜ちゃん…今、何て言ったの?」
「な、何でもありませんっ」
 あら、今度は答えてくれなかった…けれど、さっきのって、私への想いを認めたのよね?
 とっても嬉しくってすぐにでも抱きつきたい…けれど、ダメダメ、こういうときこそ落ち着かないと。
「そ、それより、問題はこっちですっ」
 話をそらされるかの様にあのアンドロイドへ目を向けられる…そうね、まずは彼女の心にある引っ掛かりをすっきりさせてあげなくっちゃ。
「そうね…この子、どういう感じで動くのかしら? ただ機械的に動くだけなのか、それとも思考回路があったりするのかしら?」
 そこでこちらからそんなことをたずねてみた。
「はい、元々はスクラップ予定だったメインのコアが生きてますから…人間とあまり変わらないはずです」
 よくは解らないけれど、人間と変わらないのね…そんなものが作れるなんて、やっぱりすごいわよね。
「それなら、眠らせたままにしておくのは…少し、かわいそうかもしれないわ」
「そうですね…そうかもしれません!」
 私の言葉にあの子は力強くうなずいてくれて、それはそれでいい…のだけれど。
「でも、幸菜ちゃんの気持ちが定まらないうちに目覚めさせても、かえってかわいそうかもしれないし…ゆっくり落ち着いて気持ちが決まったら、でいいかもしれないわ?」
 彼女はこのアンドロイドにとって親みたいなものになるのでしょうし、そんな彼女が不安そうにしていてはよくないもの。
 …私にそっくりなのに幸菜ちゃんが親、というのも何だか不思議。
「はい…ありがとうございます。ゆっくり考えてみます」
「ええ…あ、起動させるってなったら、そのときは私も呼んでね」
「はい、それはもちろんです」
 ここまで私と見た目がそっくりな子が、どんな子なのか…ふふっ、気になるわね。
 あっ、でも好みまで私と同じだったらどうしようかしら…幸菜ちゃんを渡すわけにはいかないわ。


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