―二学期がはじまってから、一週間がたって。
 この間、生徒会の新規役員を募っていたのだけれど、ついにそれも締め切られて結果を見るばかり。
「さて、ではさっそく結果のほうを発表しようと思うのだが…」
 放課後の生徒会室、現メンバーの五人が集まっての会合の冒頭、会長がそう切り出す。
 ちなみに募集方法は、生徒会室の前に設置した箱に立候補希望者が自分の名前を書いた紙を投函する、というもの…他人の名前を書いても、後で本人に真偽を確認するから無駄。
 まだ結果は会長しか知らないのだけど、その会長が一呼吸置いてから口を開く。
「ふむ、結果から言えば、一名の立候補者があった」
 ふぅん、一名でもいたのね…この学園の生徒はどちらかというと消極的な人が多いから、誰も現れないと思ってたわ。
「で、今から提示する資料がその生徒に関する情報だ」
 書記の桔梗さんによって全員へ配られた資料に目を通すけど…ちょっと、これって。
「では、この一名は決定であるとして…」
 会長も、何を平然と話を進めようとしているのよ…。
「い、いえ、会長、この人はさすがにちょっと…」
「どうした、学園の高等部生徒という条件は満たしているのだから、問題あるまい」
 確かにそれはそうだけれど…はぁ、生徒会長は私がするしかなさそう。
「ともかく、人員があと二名足りないので、彩菜と優子で各々一名ずつ集めるように。期限は一週間…よいな」
 うっ、この学園では推薦はないことは解っていたけれど、自分で集めることになるなんて…どうしよう。

「う〜ん、困ったことになったね、彩菜」
「…そうね」
 会合終了後、会長たちがいなくなったところで南雲さんが声をかけてくるけど、全然困った様子には見えない。
「ま、南雲さんは友達も多いから大丈夫でしょう…いざとなれば、私のときみたいに強引に誘えばいいでしょうし」
「あっ、ひどいなぁ、彩菜が役員になったのは同意の上で、でしょ?」
「あら、そうだったかしら…」
「そうだよ、もうっ」
 実際のところは、南雲さんが一緒に生徒会に入ってくれと泣いて頼み込んできたので仕方なく入ってあげた、というところなのだけれども…。
「とにかく、こんなところで考えててもしょうがないし、今日はもう帰ろ?」
「いえ、私はもう少しいるから、南雲さんは先に帰っていて」
 全く、私が一緒に帰ることなどないと、解っているくせに。
「それと、自分の夕食は自分で作るから、余計なことはしなくていいわよ?」
「もう、つまんないなぁ」
 貴女の楽しみのために、自分の身を犠牲にするつもりはないのよ…。
 しかし、新規役員を探し出してくるなど、本当に気が滅入る…私などに、できるのかしら。
 一人残った生徒会室で一人、ため息をついてしまうのだった。


    (第1章・完/第2章へ)

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