夏梛ちゃんは本当にとっても、お人形みたいにかわいいですから、そんな彼女を着せ替えするのは私の楽しみの一つです。
 特に、今日は私が作ってプレゼントしたものを着てもらうのですから、なおさら…。
 夏梛ちゃんも、恥ずかしそうながら私に着替えを任せてくれて…ぎゅってしたい衝動に駆られることも少なからずあるんですけど、それを何とかこらえてきちんと着せ替えさせてあげます。
「わぁ…うん、夏梛ちゃん、よく似合ってる」
 着せ替え終わった彼女を見て、またぎゅってしたくなっちゃいましたけれど、何とか我慢。
「本当本当です…麻美が私のことを想って作ってくれたから、ですね…」
 鏡の前に立った彼女は少し顔を赤くしながらもそう言って…うん、頑張って作ってよかったです。
 これで満足しそうになりますけれど…そうでした。
「あっ、夏梛ちゃん、ちょっとじっとしてて」
 彼女の長い髪をツインテールに結っているリボンを外して、私が持っていた白いリボンで同じ様に結いなおします。
 う〜ん、ゴスいおよーふくですからやっぱり黒とかのほうがよかったのかもしれませんけれど…。
「…これで、私も夏梛ちゃんとお揃い」
 一つながら、でも夏梛ちゃんに結ったのと同じリボンで、私の髪を背中あたりで束ねます。
「麻美…お揃いって?」
「うん、今夏梛ちゃんの髪を結ったのと同じリボンで私もこうして髪を束ねて…これで、私と夏梛ちゃんはいつでも同じものを身につけていられるよね」
 プレゼントを考えたときに、何かそういうことができたらいいな、って考えて…それで、こうしてみたのです。
「あっ、でも、ポニーテールとかにしてるわけじゃないんだけど、でも私が髪を束ねたりしたら、おかしいかな…夏梛ちゃん、そのままの私が一番いいって言ってくれたし。それに、夏梛ちゃんのリボンも気に入らなかったら…」
「そんな、そんなことありません…麻美とお揃い、とってもとっても嬉しいですし、大切大切にします」
「うん、よかった」
 お互いに微笑みあいます…と。
「あ、あのあの…えとえと」
 夏梛ちゃん、何だかかわいらしくもじもじしはじめちゃいました?
「…夏梛ちゃん、どうしたの?」
「は、はい、そのその、私からも、麻美にクリスマスプレゼントがあって…えとえと、受け取ってもらえます?」
「わ…う、うん、そんな、もちろんだよっ」
 ちょっと予想していなかった、でもとっても嬉しい言葉…舞い上がりそうになるのを何とかこらえつつうなずきます。
「で、ではでは、左手を出してもらえますか…?」
 緊張した面持ちの彼女に言われるままに左手を差し出します。
 すると、彼女は先ほどまで着ていた服から何かを取り出して、そっと私の手を取ると指に何かをはめてきました。
「これで…お揃い、お揃いです」
 彼女も指へ同じものをつけて見せてきましたけれど…それは銀色に輝く、そして小さな宝石の入った指輪。
「…か、夏梛ちゃんっ!? こ、これって…もしかして、結婚指輪?」
 一気に胸がどきどきしてきちゃいました。
「ちょっ、あ、麻美ったら気がはやすぎはやすぎですっ。これは…そのその、こ、ここ婚約指輪っていうものです…!」
「わ…か、夏梛ちゃんっ」
「…むぎゅっ!」
 とっても恥ずかしそうに、でもはっきりああ言ってくれた彼女に、私は想いが抑え切れなくって、ぎゅって抱きしめちゃいました。
「夏梛ちゃん、私、とっても嬉しい…本当に、ありがと…」
 嬉しさの、幸せのあまり、涙があふれてきちゃいます。
「全く全く、麻美はやっぱりやっぱり泣き虫さんなんですから…そばにいてあげないと、不安不安です」
 やさしく私の涙を拭ってくれる夏梛ちゃん…。
「ですからですから、これからもずっとずっと一緒にいましょう…一緒に、一緒に暮らしてあげますから、いいですよね?」
 それは、学園祭ライブでお願いしたことに対する、はっきりとした答え…そして、夏梛ちゃんからのプロポーズでした。
「うん…うん、夏梛ちゃんっ。私も、ずっと夏梛ちゃんのそばにいるから…だから、離さないでね?」
 私の答えはもちろん決まっていて…また涙があふれそうになるのを何とかこらえながら、彼女を見つめます。
「もちろんもちろんです…麻美こそ、私のこと離したりしたらダメなんですから」
 夏梛ちゃんと私…これから先、何があってもずっと一緒です。
 お仕事でも、日常でも…離れませんし、離さないんですから。
 そんなお互いの想いを重ね合わせるかの様に、私たちは口づけを交わします。
 あついあつい、誓いの口づけを…。


    -fin-

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